2020/05/02 15:00


「小桜メニュー物語」より 「塩ナンコツソーキ」 沖縄の料理には昔から塩をうまく使うものが多い、年中暑いので食材がいたむ、そこに塩をつけることで衛生的にもよく、保存がきき、更に旨味も増すということがわかった。理にかなった先人の知恵が多くの料理に見られる。  「塩ナンコツソーキ」はそういう発想からできた。塩をうまく使った調理法に豚の塩漬け(スーチカ)があるが、それを塩抜きのために茹でるといい塩味の出汁ができる。この出汁に何かを足せばと考えたのが軟骨ソーキだった。そして「塩ナンコツソーキ」ができた。試作に1年ほどかけた。命名に2ヶ月ほどかけた。 「牛もつ塩煮込み」「塩ナンコツソーキ」と同じ出汁にあう食材は他にないかと思いついたのが、牛もつだった。以前、牛もつ炒めというメニューがあったことを思い出したのだ。昔と比べ今の豚も牛も下処理の手がかからない、キレイになった。飼料のせいだという  牛もつもうまく塩味にマッチした。10年前の7月26日の日誌にこうある。「今日からメニューに「牛もつ塩煮込み」を入れる。新メニューはいつもドキドキだ。」と 「島らっきょう」は語れる。小桜のらっきょうは伊江島産である。しかも我が畑で作る。小桜2代目の妻は伊江島出身。その妻の母、八重子が丹精込めてらっきょう作る(八重子は88歳)そしてその娘、伊津子が、これまた丁寧にていねいにそれを剥く(伊津子は60歳)。 数年前、らっきょうが口に届くまでを見てみようと、数人を募集してらっきょう農業体験を試みた。それ以来参加した方々は一本一本うなずきながら丁寧に食べだした。植えてから収穫、そしてその後の処理の大変さを思い出しながら・・・ 「島豆腐」「じーまーみ豆腐」 沖縄が世界に誇れる食材だ、本土のものとは違う。1972年の沖縄復帰の時、厚生省からその作りにダメ出しを喰らった。それでもめげずに沖縄の豆腐屋はこの「島豆腐」を作り続けた、それが今に至る。この豆腐でないとチャンプルーは作れない。ジーマーミとはピーナツのこと、地豆と書いてジーマーミと呼ぶ、大豆ではなく落花生で豆腐を作る。   小桜でも昔みそぴーを作った残りのピーナツでジーマーミ豆腐を作っていた時期もあった。今は両方とも老舗の豆腐屋「ひろし屋」から仕入れている。   「もずく」 スヌイとも云われる。もずくはどこへ行っても二杯酢か三杯酢が定番だった。しかしこれでは体にはいいが酒のつまみにしてはどうもイマイチだと、ごま醤油にしてみた。これがうまくはまった、この味付けは誰もが驚いた。小桜では付き出しにこれしか出さない、飽きられてもこれしか出さない、何故か、飲む前にはこのもずくの持つ栄養素”フコイダン”や”アルギン酸”が二日酔いに効くのだ 「ミミガーの和え物」 は伝統的な沖縄料理で「耳皮」と書く。以前はどこの居酒屋でも「耳皮のさしみ」という名で出され、味はピーナツバターと酢で和えていた。それが少々しつこいと思ったので、ごま油と酢と醤油等で合えてみるとあっさりした味付けになった。以来これが定着した。 「スルルーの南蛮漬け」 には訳がある。かつての小桜は魚系メニューが主だった。にぎり寿司、刺身、魚の煮付け、魚汁等がメインだった。が時代の流れで現在のようなメニューに変わっていった。しかし魚系が一掃されるにはなんとも忍びない、そこで目をつけたものがスルルー(キビナゴ)だった。どこの居酒屋でもから揚げどまりだった。それはそれでうまかった。もう一工夫と考えたのが南蛮酢で和えてみた。魚系の一品が誕生した。